アヒルと鴨のコインロッカー

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

徹頭徹尾切ない。現在と過去がクロスする構成のせいだけではなく、寂寥感がずっと漂っている。決定的な何かが既に起こり、何かを失ってしまった喪失感が色濃い。そしてその喪失感は、物語が進むと焦燥感に変わる、それでぐいぐい引き込まれる、そしてそれが故にあっさり騙されてしまった。そのサプライズも衝撃だったが、それだけで終わらない面白さがあった。うん、これも当たりだったな。