天使が開けた密室

天使が開けた密室 (創元推理文庫)

天使が開けた密室 (創元推理文庫)

すっかり"青春ミステリ"づいている今日この頃。これも初出は富士見ミステリ文庫な訳だが、そんな温かい舞台に似つかわしくなく、優しい看護婦のおねいさんが過去にソプに沈められてましたってな設定はどこの二時間ドラマですか(´▽`*)アハハ と流石に吹いた。後半、事件が起こり、素人探偵がああでもないこうでもないと推理合戦を繰り広げ、名探偵一同を集めてさて・・・という古式ゆかしい展開は中々楽しませてくれた。トリックとして秀逸な訳ではないが、あれこれ考えさせられたりキャラクタの意外な行動で掻き回されたり、個人的に謎解きもので一番楽しみたい部分がしっかり提供されていて好感触だった。それだけに前半、世界観やキャラクタを語る部分が、ページ数の割りに効果を上げていなかった気がして残念。ラノベ系ミステリの良い所は、萌え要素や、テンプレ的なキャラ造型、突飛な性格付けや特殊能力をちりばめて独自の世界を構築できるところにあると個人的には思うんでちょいケレン味が足りんかなと。薄味もそれはそれで悪くない選択なんだけど、事件・謎解きの部分とのバランスがね今一。惜しい感じだけど、続巻も読みたいと思わせるには十分だったよ。